リヴィウスのローマ建国史の発想
リウィウスの目的
紀元前1世紀に活躍したローマの歴史家であるティトゥス・リウィウスは、その大著『ローマ建国史』(Ab Urbe Condita Libri)において、ローマ建国から西暦9年までの歴史を網羅することを目的としました。
共和政ローマ末期の状況
リウィウスが執筆を行ったのは、共和政ローマが末期を迎え、内乱や政治的混乱が頻発していた時代でした。度重なる内戦と独裁者の出現によって、ローマの伝統的な価値観やモラルは衰退し、共和政の理念は危機に瀕していました。
道徳的・教育的な意図
リウィウスは、このような時代背景の中で、ローマの輝かしい過去を描き出すことによって、同時代のローマ人に倫理的な模範を示し、愛国心を喚起しようとしました。彼は歴史を通して、ローマの建国と発展を支えた美徳、すなわち勇気、質素、自制心、敬虔さを強調しました。
歴史記述の方法
リウィウスは、歴史的真実を追求することに加えて、物語性を重視し、読者を引き込むような劇的な表現を用いました。彼は、歴史上の人物の演説や心理描写を巧みに用いることで、読者の感情に訴えかけ、歴史にリアリティを与えました。
資料と情報源
リウィウスは、先行する歴史家たちの著作や、公文書、碑文、伝説などを資料として利用しました。彼は、資料批判を行うことなく、入手可能な情報を総合的に利用して、ローマの歴史を再構成しました。