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リヴィウスのローマ建国史の感性

## リヴィウスのローマ建国史の感性

### リヴィウスの描くローマ人の気質

リヴィウスは、自らの叙述の中で、初期ローマ人の気質を理想化して描いています。
具体的には、以下のような美点を強調しています。

* **質実剛健さ**: 初期ローマ人は、贅沢を嫌い、勤勉で規律正しい生活を送っていたとされます。
* **愛国心**: ローマという国家への強い愛と、その繁栄のために命を捧げる覚悟を持つ人々として描かれています。
* **敬虔さ**: 神々への畏敬の念を深く持ち、神意に従って行動することの重要性を説いています。
* **正義**: 他民族との条約を忠実に守り、不当な侵略は行わないという道徳的な規範を重視していました。

これらの美点は、リヴィウスが生きた時代背景と密接に関係しています。
内乱と腐敗によって共和政が危機に瀕していた時代において、リヴィウスは、建国期のローマ人の持つ高潔な精神に立ち返ることの重要性を訴えかけようとしたと考えられます。

### 英雄の描写と歴史のドラマ性

リヴィウスは、歴史叙述の中に、英雄たちの劇的なエピソードを数多く盛り込むことで、読者の感情に訴えかけるような筆致で歴史を描いています。

例えば、ホラティウス・コクレスの武勇伝や、ムキウス・スカエウォラの勇敢な行動などは、ローマ人の勇敢さや自己犠牲の精神を象徴する物語として、読者に強い印象を与えます。
また、これらのエピソードは、単なる英雄譚としてではなく、ローマの運命を左右する重要な局面として描かれることで、歴史のドラマ性をより一層際立たせています。

リヴィウスは、歴史を単なる過去の出来事の記録ではなく、教訓と感動を与える物語として捉えていたと言えるでしょう。
彼の叙述は、読者に古代ローマの栄光と、その礎となった人々の精神世界を鮮やかに蘇らせます。

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