## リヴィウスのローマ建国史の思考の枠組み
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ローマ建国と発展の過程における道徳の役割
リヴィウスは、ローマ建国から自らの時代に至るまでの過程を、道徳的な観点から捉えようとしていました。彼は、初期ローマ人の質実剛健さ、忠誠心、敬虔さといった美徳を称賛し、これらの美徳こそがローマの隆盛の礎となったと主張します。
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歴史から学ぶという姿勢
リヴィウスは、「ローマ建国史」を単なる過去の出来事の記録としてではなく、後世の人々が教訓を得るための書物として構想していました。彼は、過去の栄光と挫折の双方を描くことで、読者に歴史から学び、国家や個人にとって何が重要であるかを考えさせることを意図していました。
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ローマ中心主義的な歴史観
「ローマ建国史」は、あくまでもローマ人の視点から書かれた歴史書です。リヴィウスは、ローマを世界の中心と捉え、他の民族や文化については、ローマとの関係性においてのみ記述しています。
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共和政ローマへのノスタルジー
リヴィウスは、アウグストゥス帝政期に「ローマ建国史」を執筆しました。彼は、自らの生きる時代よりも、共和政期のローマの方が道徳的に優れていたと考えており、過去の共和政の偉業を称えることで、当時のローマ社会に警鐘を鳴らそうとしていたと考えられています。
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文学的修辞と歴史記述の融合
「ローマ建国史」は、歴史書でありながら、高度な文学的技法を用いて書かれています。リヴィウスは、劇的な表現や雄弁な演説を効果的に挿入することで、歴史的事実を読者に強く印象づけようとしました。