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リヴィウスのローマ建国史と人間

## リヴィウスのローマ建国史と人間

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歴史叙述と人間描写

リウィウスの『ローマ建国史』は、ローマ建国から紀元前9年までのローマ史を叙述した大部の歴史書です。 英雄時代から共和政、そして帝政へと移り変わるローマの変遷を、王や政治家、軍人、市民など、様々な階層の人間の姿を織り交ぜながら描き出しています。リウィウスは歴史的事実の正確な記録に加え、登場人物の心理描写や演説を通して、歴史を動かす人間の野心、愛憎、勇気、忠誠心といった普遍的な感情を鮮やかに描き出しています。

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ローマ的価値観と人間の virtutes

リウィウスは、質実剛健、祖国愛、忠誠心、勇気といったローマ的な価値観 (virtutes) を体現する人物像を積極的に描写しています。例えば、祖国防衛のために私財を投げ打つキンキナトゥスや、敵軍に包囲されながらも屈することなく戦ったレガトゥスといった英雄たちです。 彼は、これらの模範的な人物像を通して、ローマが建国以来、いかにこれらの価値観を重視し、それがローマの繁栄に繋がってきたのかを強調しています。

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歴史の教訓と人間の蹉跌

リウィウスは、歴史を通して後世の人々に教訓を与えることを強く意識していました。 彼はローマ史における栄光だけでなく、政治腐敗や指導者たちの失策、民衆の無秩序といった負の側面も赤裸々に描き出しています。例えば、共和政末期の政治混乱や、贅沢と享楽に耽ることでローマの伝統的な価値観が失われていく様子などは、当時の読者にとって現代社会にも通じる警鐘として映ったことでしょう。 このようにリウィウスは、歴史を単なる過去の出来事としてではなく、現在と未来を照らし出す鏡として捉え、人間の普遍的な成功と失敗を克明に記録することで、後世の人々に教訓を伝えようと試みています。

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