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リストの政治経済学の国民的体系を読む前に

リストの政治経済学の国民的体系を読む前に

リストの経済学を理解するための基礎知識

フリードリヒ・リストの『政治経済学の国民的体系』は、19世紀半ばに書かれた経済学の古典の一つです。当時の支配的な経済学説であったアダム・スミスの自由貿易主義を批判し、国家による保護貿易の必要性を説いたことで知られています。

リストの主張を理解するには、まず彼が生きていた時代の歴史的背景を押さえておく必要があります。19世紀のヨーロッパは産業革命の真っ只中にあり、イギリスがその中心地として世界経済をリードしていました。一方、ドイツをはじめとする後発諸国は、イギリスの安価な工業製品に市場を席巻され、経済的に劣位に立たされていました。

リストは、このような状況下では自由貿易は後発諸国にとって不利に働くと考えました。彼は、自由貿易はあくまで先進国が自国の優位性を保つための戦略であり、後発諸国が真に経済発展を遂げるためには、国家による積極的な介入と保護が必要であると主張したのです。

『国民的体系』における主要な概念

リストの経済学を理解する上で重要な概念は、「国民経済」と「生産力」です。リストは、経済活動を個人ではなく国民という単位で捉え、国家の役割は国民全体の経済力、すなわち「生産力」を高めることにあると考えました。

リストが重視したのは、工業、特に製造業における生産力の向上でした。彼は、製造業は農業に比べて技術革新や分業が進みやすく、生産力の向上を通じて国富を増大させる効果が大きいと考えていました。そして、後発諸国が製造業を育成し、先進国に追いつくためには、関税などの保護貿易政策によって国内産業を保護する必要があると主張したのです。

現代におけるリスト経済学

リストの主張は、19世紀後半から20世紀初頭にかけてのドイツや日本で実際に経済政策に採用され、一定の成果を収めました。現代においても、途上国の経済発展やグローバリズムに対する批判的視点から、リストの経済学は改めて注目されています。

『政治経済学の国民的体系』を読む際には、これらの背景や主要な概念を踏まえ、リストの主張を批判的に検討することが重要です。

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