## リストの政治経済学の国民的体系の選択
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リストの政治経済学における国民的体系
フリードリヒ・リストは19世紀のドイツの経済学者であり、その主著「国民経済学の国民的体系」で知られています。リストは、アダム・スミスやデヴィッド・リカードなどが提唱した自由貿易主義的な古典派経済学を批判し、国家による経済への介入を積極的に肯定しました。彼は、当時のドイツがイギリスに比べて経済的に遅れていたことから、イギリスの自由貿易政策をそのままドイツに適用することはできないと考えました。
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リストの主張
リストは、国家が保護貿易や産業育成などの政策を実施することで、国内産業を育成し、国際競争力を高めるべきだと主張しました。彼は、自由貿易はすでに工業化を達成した先進国にのみ有利な政策であり、発展途上の国が自由貿易を採用すると、先進国の工業製品に市場を席巻され、経済的に従属してしまうと考えたのです。
リストは、経済発展の段階を5つに分け、それぞれの段階に応じて適切な経済政策が異なるとしました。彼は、発展途上の国は保護貿易によって国内産業を保護し、工業化を達成する必要があると考えました。そして、工業化が進むにつれて、徐々に自由貿易へと移行していくべきだと主張しました。
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リストの思想の影響
リストの思想は、19世紀後半のドイツやアメリカの経済政策に大きな影響を与えました。彼の主張は、これらの国々が保護貿易政策によって工業化を達成し、経済大国へと成長していく過程を後押ししました。また、彼の思想は、20世紀後半の新興国の経済発展にも影響を与えました。
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現代におけるリストの評価
現代において、リストの思想は、グローバリゼーションの進展に伴って再び注目を集めています。彼の主張は、グローバリゼーションによって経済格差が拡大し、発展途上国が先進国に経済的に従属してしまうという問題意識と重なる部分があるからです。
一方で、リストの主張は、保護貿易が国内産業の競争力を低下させ、かえって経済成長を阻害する可能性があるという批判もあります。また、彼の思想は、国家主義的な色彩が強く、国際的な協調を阻害する可能性もあるという指摘もあります。