## リストの政治経済学の国民的体系とアートとの関係
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リストの経済理論におけるアートの位置づけ
フリードリヒ・リストは、その主著『政治経済学の国民的体系』の中で、国家の発展段階において、物質的な富だけでなく、精神的な文化の成熟が不可欠であると説きました。リストは、経済活動と文化活動、特に芸術とは、密接に関係していると考えていました。
リストは、芸術を単なる娯楽や贅沢品としてではなく、国民の精神性を高め、創造性を育むための重要な要素として捉えていました。 彼の経済理論において、芸術は、国民の教養レベル向上、美的感覚の育成、そして、国家の精神的な統合を促進する役割を担っていました。
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保護主義と芸術振興
リストは、自由貿易ではなく、保護主義に基づいた経済政策を主張していました。 これは、発展途上の国が先進国との競争に勝ち抜くためには、国内産業を保護し、育成していく必要があると考えたためです。
芸術の分野においても、リストは同様の保護主義的な考えを持っていました。彼は、自国の芸術家を育成し、国民文化を育んでいくためには、外国の芸術作品との競争から自国の芸術を保護する必要があると主張しました。
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芸術による国民意識の向上
リストは、共通の言語、歴史、文化を共有することで、国民はより強く結びつくことができると考えていました。そして、芸術は、国民意識を高め、国民統合を促進するための強力な手段になりうると信じていました。
彼は、自国の歴史や神話、風土などを題材とした芸術作品を奨励することで、国民一人ひとりが自国の文化や価値観を共有し、国家への帰属意識を高めることができると考えていました。