リカードの経済学および課税の原理の機能
リカードの経済学および課税の原理の概要
本書は、古典派経済学の古典として知られる、イギリスの経済学者デヴィッド・リカードによって1817年に初版が刊行された経済学書です。リカード自身の経済学的考察を体系的にまとめた本書は、アダム・スミスの「国富論」を継承、発展させたと評価され、19世紀イギリスにおける経済政策に大きな影響を与えました。
本書の構成
本書は全32章で構成され、大きく分けて以下の3つのパートで構成されています。
1. 経済学の基礎理論:価値の概念、地代論、分配論
2. 経済成長と分配:利潤率の決定要因、経済成長の限界
3. 課税の原則:租税の中立性、租税帰着
本書で展開される主要な経済理論
本書では、リカードの経済学の中核をなす以下の理論が展開されています。
* 労働価値説
* 差額地代論
* 比較生産費説
労働価値説
リカードは、商品の価値はそれを生産するために必要な労働量によって決定されるとする労働価値説を主張しました。これは、アダム・スミスから受け継いだ概念ですが、リカードはこれをより厳密に理論化しようとしました。
差額地代論
リカードは、地代は土地の生産性の差によって生じるとする差額地代論を展開しました。肥沃な土地とそうでない土地では、同一の労働力を投入しても生産量が異なり、その差額が地代として地主に帰属するという理論です。
比較生産費説
リカードは、国際貿易においては、各国がそれぞれ最も生産性の高い財を専門的に生産し、貿易を行うことで、全体の利益が最大化されるとする比較生産費説を提唱しました。これは、自由貿易の理論的根拠の一つとして、現代経済学においても重要な概念となっています。
本書の主張
リカードは本書を通して、自由貿易の推進、金本位制の採用、穀物法の廃止などを主張しました。これらの主張は、当時のイギリスの経済状況を背景に、産業資本家の利益を代弁したものとして解釈されることもあります。
本書の影響
本書は、19世紀のイギリス経済学に多大な影響を与え、ジョン・スチュアート・ミルなどの後続の経済学者たちに多くの理論的着想を与えました。また、本書で展開された自由貿易の理論は、イギリスの自由貿易政策を推進する理論的根拠としても機能しました.
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