リカードの経済学および課税の原理の技法
リカードの分析手法
リカードは、経済現象を抽象化し、単純化したモデルを用いて分析する手法を用いました。これは、複雑な現実の経済から、分析の対象となる主要な要素のみを取り出し、他の要素を捨象することで、経済現象の本質を見抜こうとするものです。
演繹法
リカードは、いくつかの基本的な前提から出発し、論理的な推論によって結論を導き出す演繹法を多用しました。彼の主要な著作である「経済学および課税の原理」では、労働価値説や収穫逓減の法則といった前提から、国際貿易における比較優位の原理や地代論などを論理的に展開しています。
数値例
リカードは、抽象的な議論を補完するために、具体的な数値例を用いることがしばしばありました。例えば、比較優位の原理を説明する際に、イギリスとポルトガルの2国間における布とワインの生産に必要な労働量を数値で示し、自由貿易によって両国が利益を得ることを明らかにしました。
長期的な視点
リカードは、経済現象を分析する上で、短期的な変動よりも長期的な傾向に注目しました。彼は、経済が長期的に成長するためには、資本蓄積と人口増加が不可欠であると考えました。そして、地代の増加が資本蓄積を阻害し、経済成長を停滞させる可能性を指摘しました。