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リカードの経済学および課税の原理の思想的背景

リカードの経済学および課税の原理の思想的背景

思想的背景

デヴィッド・リカード(1772-1823)は、古典派経済学を代表する経済学者の一人であり、その主著『経済学および課税の原理』(1817年)は、アダム・スミスの『国富論』を継承し、発展させたものとして知られています。リカードの経済思想は、当時のイギリス社会が抱えていた様々な問題や、彼自身の生い立ち、経験から大きな影響を受けています。

フランス革命とナポレオン戦争の影響

リカードが青年期を過ごした時代は、フランス革命(1789年)とその後のナポレオン戦争(1799-1815年)という激動の時代と重なります。フランス革命は、自由、平等、博愛を掲げ、旧体制を打倒した革命であり、ヨーロッパ全土に大きな影響を与えました。イギリスはフランス革命を警戒し、対仏大同盟を結成してフランスと戦いました。ナポレオン戦争は、イギリス経済に大きな負担を強いることになります。

リカードは、フランス革命の思想に共鳴し、自由主義、個人主義、自由貿易といった思想を強く抱くようになりました。また、ナポレオン戦争による戦費調達のために、イギリス政府は増税や国債発行を行い、インフレーションが発生しました。リカードは、政府の経済活動がインフレーションや経済の不安定化をもたらすと考え、政府の役割は限定的であるべきだと主張するようになりました。

アダム・スミスと古典派経済学の影響

リカードは、アダム・スミスの主著『国富論』(1776年)を読み、大きな影響を受けました。スミスは、重商主義を批判し、自由主義経済を唱えました。スミスは、政府の介入を最小限に抑え、個人の経済活動を自由にすることで、経済は発展すると考えました。「見えざる手」と呼ばれる考え方はあまりにも有名です。

リカードは、スミスの自由主義経済の考え方を継承し、さらに発展させました。リカードは、労働価値説に基づき、商品の価値はそれを生産するために必要な労働量によって決まると主張しました。また、リカードは、比較優位説を唱え、自由貿易によってすべての国が利益を得られることを示しました。

イギリス社会の経済問題

18世紀後半から19世紀初頭にかけて、イギリスでは産業革命が進展し、経済が大きく発展しました。しかし、その一方で、貧富の格差の拡大、都市への人口集中、失業などの社会問題も深刻化していました。

リカードは、これらの社会問題に関心を持ち、その解決策を経済学の観点から探求しました。リカードは、地代が経済発展を阻害する要因の一つであると考え、地主への課税強化を主張しました。また、穀物法によって穀物の輸入が制限されていることが、食糧価格の高騰と労働者の生活苦につながっていると批判し、穀物法の廃止を訴えました。

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