## リカードの経済学および課税の原理と言語
リカードの経済学における言語の役割
デヴィッド・リカードの主著『経済学および課税の原理』(1817年)は、古典派経済学の金字塔とされ、その後の経済学の発展に多大な影響を与えました。リカードは、本書において労働価値説、比較優位説、地代論など、今日でも重要な経済学の基礎概念を提示しました。
抽象化と単純化
リカードは、複雑な経済現象を分析するために、意図的に抽象化と単純化を用いた独自の言語を駆使しました。彼は、経済主体を行動原理に基づいて、資本家、労働者、地主の3つの階級に類型化し、彼らの利害関係がどのように経済全体に影響を与えるかを分析しました。
数学的表現の欠如と論理展開
リカードは、現代経済学で一般的な数学的モデルを用いるのではなく、論理的な推論と例示を用いて自らの理論を展開しました。 このため、『原理』は、数式を用いずに経済理論を理解しようとする読者にとって、難解な部分も少なくありません。
用語の定義の曖昧さ
リカードは、現代経済学のように厳密な用語の定義を用いていません。 例えば、「価値」という言葉は、文脈によって異なる意味で用いられることがあります。 このような用語の定義の曖昧さが、『原理』解釈の難しさの一因となっています。
修辞技法と論敵への反論
リカードは、自らの主張を明確に伝えるために、比喩や反語などの修辞技法を効果的に用いています。 また、『原理』は、アダム・スミスやマルサスなど、当時の経済学者たちの理論に対する批判を多く含んでいます。 リカードは、彼らの主張の矛盾点を突くことで、自らの理論の正当性を主張しようとしました。