## リカードの経済学および課税の原理と作者
**著者の生い立ちと社会背景**
「経済学および課税の原理」の作者であるデヴィッド・リカードは、1772年にイギリスのロンドンでユダヤ系ポルトガル人の裕福な証券仲買人の家に生まれました。14歳で父親の仕事を手伝い始め、商取引の実務経験を積みました。21歳でキリスト教に改宗し、裕福なクエーカー教徒の女性と結婚したことで、ユダヤ人社会から追放され、父親の会社からも離れることになりました。しかし、リカードはその後も金融業界で成功を収め、莫大な財産を築きました。
**経済学への関心の高まりと執筆活動**
リカードが経済学に興味を持ち始めたのは、1799年にアダム・スミスの「国富論」を読んだことがきっかけでした。彼は経済学を独学で学び、通貨や穀物法など、当時のイギリス経済が抱える問題について論じたパンフレットを執筆し始めました。リカードの鋭い分析と明快な文章は高く評価され、経済学者として次第に注目を集めるようになりました。
**「経済学および課税の原理」の出版と影響**
1817年、リカードは自身の経済学説を体系的にまとめた主著「経済学および課税の原理」を出版しました。本書は、労働価値説、比較優位説、地代論など、リカードの経済学の主要な理論を展開しており、古典派経済学の基礎を築いた重要な著作として位置づけられています。特に、比較優位説は、自由貿易の経済的利益を明確に示した画期的な理論として、現代経済学においても重要な概念となっています。
**リカードと他の経済学者との交流**
リカードは、ジェームズ・ミルやトマス・ロバート・マルサスなど、当時の著名な経済学者と活発な議論を交わし、自身の経済学説を深化させていきました。特に、マルサスとは、人口論や穀物法などを巡って激しい論争を繰り広げたことは有名です。リカードは、自身の経済理論を擁護するために、論敵との論争を通じて、その主張の精緻化に努めました。
**リカードの経済学の特徴**
リカードの経済学は、抽象的な理論モデルを用いて経済現象を分析する点に特徴があります。彼は、経済主体は常に自己利益を追求するという前提に立ち、自由競争の下では、市場メカニズムを通じて資源が効率的に配分され、社会全体の利益が最大化されると考えました。リカードの経済学は、後の新古典派経済学にも大きな影響を与えました。