## リカードの経済学および課税の原理と人間
リカードの経済学
デヴィッド・リカードは、18世紀末から19世紀初頭にかけて活躍したイギリスの経済学者です。彼の主著『経済学および課税の原理』(1817年) は、アダム・スミスの『国富論』と並び称される古典派経済学の古典です。
リカードは、本書において、労働価値説、比較優位、地代論など、現代経済学にも影響を与え続けている重要な概念を提唱しました。
### 労働価値説
リカードは、商品の価値は、その生産に必要な労働量によって決まると考えました。これは労働価値説と呼ばれ、アダム・スミスから受け継いだ考え方です。
リカードは、労働価値説を用いて、資本家の利潤は労働者の賃金から生み出されると主張しました。
### 比較優位
リカードは、国際貿易において、各国がそれぞれ最も得意とする分野の生産に特化することで、全体の生産量が拡大し、すべての国が利益を得られると主張しました。
これは比較優位の原理と呼ばれ、自由貿易の根拠として、現代経済学においても重要な概念となっています。
### 地代論
リカードは、地代は土地の質の差によって生じると考えました。
彼は、人口増加に伴い、肥沃な土地から順に耕作されていくため、土地の希少性が高まり、地代が生じると説明しました。
課税の原理
リカードは、『経済学および課税の原理』において、課税が経済活動に与える影響についても分析しました。
彼は、課税は生産や分配に歪みを与えるため、できるだけ最小限に抑えるべきだと主張しました。
人間
リカードの経済学は、人間は自己利益を追求する合理的経済人であるという前提に基づいています。
彼は、人間は常に自分の利益を最大化しようと行動すると考え、この行動原理が市場メカニズムを通じて、社会全体の利益にもつながると論じました。
しかし、リカードは、人間の行動を経済活動に限定して考えていたわけではありません。彼は、奴隷制度廃止運動に積極的に参加するなど、倫理的な問題にも関心を寄せていました。