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ラートブルフの法哲学の思索

## ラートブルフの法哲学の思索

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不法の法 (Gesetzliches Unrecht)

ラートブルフは、ワイマール共和国時代に法学教授として活躍していましたが、ナチス政権が台頭するとユダヤ人であるという理由でその職を追われました。 この経験から、彼は、**法の形式的な妥当性と実質的な正義の内容が乖離する**場合があることを痛感することになります。 ナチス体制下では、確かに法律は制定され、形式的には有効なものでした。しかし、その内容は、ユダヤ人のような特定の人々に苦痛と不正義をもたらすものでした。

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法の三つの要素

この経験からラートブルフは、**法には単なる形式的な妥当性だけではなく、「正義」という内容が不可欠である**と主張するようになりました。彼は、法を構成する三つの要素として、「相対的な法の価値」「目的による法の価値」「正義による法の価値」を挙げます。

* **相対的な法の価値**:これは、法の形式的な側面、すなわち明確性、安定性、予測可能性などを指します。法律は、人々が理解し、従うことができ、また将来も変わらないものであるという安心感を与えるものでなければなりません。
* **目的による法の価値**:これは、法が社会の秩序や福祉、個人の自由や安全などの具体的な目的に資するものであるべきだということを意味します。
* **正義による法の価値**:これは、法が人間の尊厳、平等、公正といった普遍的な道徳的価値観に合致している必要があるということです。

ラートブルフは、これらの三つの要素は相互に関連し合い、補完し合うものであるとしました。しかし、ナチスの例が示すように、法が形式的に妥当であっても、それが正義に反する場合には、真の意味での「法」とは言えないと主張しました。

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