## ラートブルフの法哲学に匹敵する本
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**1. 自然法と国家法**
(Lon L. Fuller, 1964)
アメリカの法哲学者ロン・L・フラーによる本書は、法の道徳性と、法体系が備えるべき内部道徳、すなわち「法の形式的要件」について深く考察した作品です。フラーは、ナチス政権下における法律の運用を例に挙げ、実定法といえども、人間の尊厳や社会秩序といった一定の道徳的基準を満たさない限り、真の法として成立し得ないと主張しました。
この主張は、法の妥当性を国家の権力に求める法実証主義への批判として、現代法哲学においても重要な論点を提供しています。ラートブルフが「法の非良心の限界」で法の道徳的内容に焦点を当てたのに対し、フラーは法の形式的な側面に着目し、両者は異なる視点から法と道徳の複雑な関係を解き明かそうとした点で共通しています。
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**2. 法の概念**
(H.L.A. Hart, 1961)
イギリスの法哲学者H.L.A.ハートの主著である本書は、20世紀における法実証主義の金字塔と称されるほど、現代法哲学に多大な影響を与えた名著です。ハートは、法を「一次規則」と「二次規則」から成る体系として捉え、法の拘束力を説明しようとしました。一次規則は、個人の行動を直接規制する規則を指し、二次規則は一次規則の制定、変更、適用、解釈などを司る、いわば「規則についての規則」を指します。
ハートは、法体系の根幹に位置する「承認の規則」の存在を指摘し、これが法体系に統一性と安定性を与えていると論じました。これは、法の妥当性を国家の権威に還元する、従来の法実証主義の単純化された見方を乗り越えようとする試みであり、ラートブルフが「法の相対性」の中で示唆した、法の動的な側面を捉える上で重要な視点を提供しています。