Skip to content Skip to footer

ラ・ロシュフーコーの箴言録と言語

## ラ・ロシュフーコーの箴言録と言語

###

箴言録における言語の特質

ラ・ロシュフーコーの『箴言録』は、17世紀フランスの宮廷社会における人間観察に基づき、人間の行動を支配する利己心や虚栄心などの隠された動機を鋭く、時に皮肉を込めて描いた作品です。この作品の特徴の一つに、洗練された簡潔な言語表現が挙げられます。

###

格言形式と逆説表現

『箴言録』は、短い文章で完結した意味を持つ格言形式で書かれています。 格言形式を用いることで、人間の普遍的な真理を鋭く印象的に読者に提示しています。 また、ラ・ロシュフーコーは逆説表現を効果的に用いることで、人間の複雑な心理や偽善性を浮き彫りにしています。例えば、「我々は、自分の欠点については、ただ、それを改めるのに必要なだけの認識しか持っていない」という箴言は、自己認識の甘さや自己正当化の傾向を逆説的に表現することで、読者に省みる機会を与えています。

###

比喩表現と抽象概念の具体化

『箴言録』では、比喩表現が効果的に用いられており、抽象的な概念を具体的なイメージとして読者に提示しています。 例えば、「幸運は、彫刻家の粘土のようなものである。それを思い通りに作り上げるには、柔らかいうちに扱わねばならない」という箴言では、抽象的な「幸運」を「粘土」という具体的なものにたとえることで、幸運はタイミングが重要であることを鮮やかに表現しています。

###

宮廷社会における言語

『箴言録』の言語は、ラ・ロシュフーコー自身が身を置いていた17世紀フランス宮廷社会の影響を強く受けています。 洗練された表現や皮肉を込めた表現は、当時の宮廷における会話術や社交辞令を反映しているとも言えます。 また、当時の宮廷社会で重要視された知性や機知を駆使した表現は、読者に知的刺激を与え、作品の魅力を高めています。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5