Skip to content Skip to footer

ラ・ロシュフーコーの箴言録が関係する学問

ラ・ロシュフーコーの箴言録が関係する学問

人間心理を探求する鋭利なメス:箴言録と倫理学

ラ・ロシュフーコーの『箴言録』は、人間の本性を鋭く観察し、その行動の背後に潜む自己愛や利己心といった動機を容赦なく暴き出すことで、倫理学、特にフランスにおける17世紀のモラリスト文学と密接な関係を持つ作品です。

『箴言録』は、人間の美徳や道徳といった外面的な姿を疑い、その根底にある利己的な動機を露呈することに重点を置いています。たとえば、「我々は、自分たちを罰するために悪徳を捨てるよりも、褒めてもらうために美徳を身に付ける方がずっと多い」という箴言は、一見すると高潔に見える行為さえ、自己愛という隠れた動機に基づいている可能性を示唆しています。

このような人間観は、当時のフランス社会における上流階級の虚飾や偽善に幻滅を感じていたラ・ロシュフーコー自身の経験、そしてストア主義やエピクロス主義といった古代ギリシャ哲学の影響を色濃く反映しています。彼の箴言は、伝統的な倫理観に疑問を投げかけ、人間の道徳的な行動の複雑さと曖昧さを浮き彫りにすることで、読者に倫理的な自己省察を促す役割を果たしています。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5