Skip to content Skip to footer

ラ・ロシュフーコーの箴言録から学ぶ時代性

## ラ・ロシュフーコーの箴言録から学ぶ時代性

箴言録に見る17世紀フランスの姿

ラ・ロシュフーコーの『箴言録』は、人間の本性を鋭く抉り出す警句の数々で知られています。そこには、我々人間であれば誰もが持つような利己心や虚栄心、嫉妬や欲望などが、時にシニカルに、時に冷徹なまでに描き出されています。そして、これらの箴言の背景には、17世紀フランスという時代性が色濃く反映されています。

宮廷社会の光と影

ルイ14世の治世、フランスは絶対王政の絶頂期を迎えました。華麗なるヴェルサイユ宮殿を中心に、貴族たちは権力と栄光を求めて熾烈な競争を繰り広げていました。ラ・ロシュフーコー自身もまた、その渦中に身を置いていた貴族の一人でした。彼は、権謀術数が渦巻く宮廷社会の中で、人間の表向きの顔と裏側の顔、そしてその奥底に潜む欲望や虚栄を目の当たりにしたのです。

「 amour-propre(自己愛)」という視点

ラ・ロシュフーコーは、人間行動の根底には「amour-propre(自己愛)」があると看破しました。名誉欲、虚栄心、承認欲求など、あらゆる人間の行動は、この自己愛を満たすためであると彼は考えたのです。そして、宮廷社会こそが、この自己愛が最も顕著に現れる場所でした。人々は、少しでも優位に立とうと、互いに虚栄心を刺激し合い、嫉妬し、策略を巡らせていたのです。

社会構造と人間の心理

当時のフランスは、身分制度が厳格な社会でした。貴族たちは特権的な立場にあり、名誉と栄光を重んじました。ラ・ロシュフーコーの箴言には、こうした社会構造の中で生まれた人間の心理が鋭く描かれています。例えば、「我々は、自分たちの欠点については、それを直そうというよりは、むしろ、そのことで咎められないようにと、心を砕くものである」という言葉は、体面や名誉を何よりも重んじる当時の貴族社会の風潮を反映していると言えるでしょう。

普遍性と現代社会への示唆

ラ・ロシュフーコーの箴言は、17世紀フランスという特定の時代や社会を描写したものですが、同時に、時代を超えて人間の普遍的な本質を突いたものでもあります。現代社会においても、競争や成功、承認欲求といったものが、私たちを揺り動かす大きな要因となっています。彼の箴言は、私たち自身の内面を見つめ直し、人間の本質について深く考えるきっかけを与えてくれるのではないでしょうか。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5