ラ・メトリの人間機械論の選択
「人間機械」という比喩表現の選択について
ラ・メトリは著書『人間機械論』の中で、人間を機械になぞらえています。これは当時の社会において非常に衝撃的な表現でした。なぜなら、人間は神によって創造された特別な存在であり、動物やましてや機械とは一線を画すという考え方が一般的だったからです。
機械論の選択について
ラ・メトリが人間を機械にたとえた背景には、17世紀から台頭してきた機械論の影響があります。機械論とは、自然現象をすべて機械の運動によって説明しようとする考え方です。時計のような精巧な機械装置が開発されたことで、複雑な動きをする人間ですら、精巧な機械とみなせるのではないかという考えが生まれました。ラ・メトリは、デカルトの動物機械論を人間にまで拡張し、人間もまた、心臓をゼンマイ、神経を歯車とみなせる複雑な機械であると主張しました。
唯物論の選択について
ラ・メトリは、機械論に基づき、人間の精神活動も物質的な過程にすぎないと考えました。これは、当時の宗教的な世界観では考えられない、唯物論的な立場でした。