ラ・メトリの人間機械論の読者

18世紀、フランス啓蒙主義の真っただ中に出版された「人間機械論」は、その物議を醸す内容から、学者、哲学者、知識人など、幅広い読者を想定していました。ラ・メトリは、医学の知識と哲学的な洞察を駆使し、人間の意識や精神を含むすべての生命現象を、機械的な原理によって説明できると主張しました。

当時のヨーロッパ社会は、科学革命と啓蒙主義の影響を大きく受け、伝統的な宗教観や人間観が揺らいでいました。ニュートン力学の成功は、自然現象を機械論的に理解しようとする風潮を加速させ、デカルトの二元論もまた、心身問題に関する議論を巻き起こしていました。

ラ・メトリの著作は、唯物論や無神論を助長するものとして、当時の宗教界や保守的な思想家たちから激しい批判を受けました。しかし、その一方で、彼の主張は、医学や生物学の分野における機械論的なアプローチを促進し、後の神経科学や心理学の発展にも影響を与えたと言えます。