ラ・メトリの人間機械論の発想
人間機械論とは
ジュリアン・オフレ・ド・ラ・メトリが1747年に発表した『人間機械論』は、人間の精神を含めたあらゆる活動を物質の運動に還元する徹底的な唯物論を展開し、大きな議論を呼びました。
医学的経験に基づく発想
ラ・メトリは医師としての経験を通じて、人間の身体が複雑な機械のように機能していることを目の当たりにしました。彼は著書の中で、消化や血液循環などの生理現象を機械的な原理によって説明しようと試みています。
デカルト哲学の影響
ラ・メトリは、心身二元論を唱えたデカルトの影響を強く受けていました。デカルトは、人間を身体と精神という二つの実体から成り立つものと考え、動物を精神を持たない単なる機械と見なしました。しかし、ラ・メトリは、動物にも精神的な能力があることを観察し、人間と動物の間に本質的な違いはないと結論付けました。
感覚と精神の物質的基盤
ラ・メトリは、人間の精神活動も、脳や神経といった物質的な器官の働きによって説明できると主張しました。彼は、感覚や感情、思考といった精神現象が、すべて脳内の物質運動に還元されると考えました。
経験主義に基づく人間理解
ラ・メトリは、人間の知識はすべて経験から得られるという経験主義の立場をとっていました。彼は、人間は生まれながらにして白紙の状態であり、感覚経験を通じて世界を認識していくと主張しました。