## ラ・メトリの人間機械論の仕組み
###
物質と運動の原理に基づく生命の解釈
ラ・メトリは、デカルトの機械論の影響を受けつつも、それをさらに推し進め、人間を含めた生命現象を物質と運動のみに還元しようとしました。彼は、動物の身体が複雑な機械であることを示した上で、人間もまた、より精巧な機械に過ぎないと主張しました。
ラ・メトリによれば、生命活動はすべて物質の機械的な運動によって説明可能であり、魂のような非物質的な実体は必要ありません。彼は、感覚、思考、感情といった精神活動さえも、脳内の微細な物質の運動と相互作用の結果であると見なしました。
###
人間の特異性の否定
ラ・メトリは、人間と動物の間に本質的な違いはないと主張しました。彼は、動物にも学習能力や感情、ある程度の知性が見られることを指摘し、人間だけが特別な存在であるという考えを否定しました。
彼によれば、人間が動物よりも優れた知的能力を持つのは、脳の構造がより複雑で、その分だけ多くの情報を処理できるためです。しかし、それはあくまで量的な違いであり、質的な違いではありません。
###
経験と教育の重要性
ラ・メトリは、人間の行動や性格は、生まれながらに決まっているものではなく、経験や教育によって後天的に形成されると考えました。彼は、人間は生まれたときは白紙の状態であり、周囲の環境との相互作用を通じて、徐々に人格を形成していくと主張しました。
この考え方は、当時の社会に大きな影響を与えました。なぜなら、人間は生まれながらにして貴賤や能力が決まっているという、それまでの身分制度を正当化する考え方を否定するものであったからです。
Amazonで詳細を見る
読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。