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ラ・メトリの人間機械論に匹敵する本

## ラ・メトリの人間機械論に匹敵する本

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「自然の体系」

(1739-49, ドニ・ディドロ)

ディドロの「自然の体系」は、ラ・メトリの「人間機械論」と同様に、18世紀フランス啓蒙主義を代表する唯物論的著作として、当時の社会に大きな衝撃を与えました。この著作でディドロは、自然全体を物質とその運動によって説明しようと試み、神や霊魂の存在を否定しました。

「自然の体系」は、全体で3つのパートから構成されています。第一部では、古代ギリシャの原子論者デモクリトスやルクレティウスの思想を継承し、宇宙の構成要素を物質と運動に還元しようとします。第二部では、生物の発生と進化について考察し、生命現象についても物質的な原理によって説明することを試みます。そして第三部では、人間もまた物質的な存在であり、精神活動も脳の物理的な活動に還元されると主張しました。

この著作は、当時のキリスト教的な世界観を根底から覆すものであり、発禁処分を受けました。しかし、その革新的な思想は、後のフランス革命や近代科学の発展に大きな影響を与えたと言われています。

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「精神について」

(1855, イギリス、ハーバート・スペンサー)

スペンサーの「精神について」は、人間の精神活動までもが進化の産物であるとする、先駆的な進化心理学の書として知られています。この本は、ラ・メトリの「人間機械論」が出版されてから100年以上後に書かれましたが、人間の精神を機械のように捉えるという点で、共通する部分を持っています。

スペンサーは、ダーウィンの進化論の影響を受け、人間の精神もまた、単純な反射から複雑な思考へと、長い時間をかけて進化してきたと主張しました。彼は、感覚、知覚、記憶、感情、意志といったあらゆる精神活動が、進化の過程で獲得された適応的な機能であると説明しました。

「精神について」は、当時の心理学に大きな影響を与え、行動主義心理学の先駆となりました。しかし、人間の精神を過度に単純化しすぎているという批判も受けています。

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