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ラ・メトリの人間機械論と時間

## ラ・メトリの人間機械論と時間

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ラ・メトリにおける「人間機械」と時間

ラ・メトリの『人間機械論』(1748) においては、時間は直接的に主要なテーマとして扱われていません。彼が本書で展開する議論の中心は、デカルトの心身二元論への批判、そして人間の精神を含むあらゆる生命現象を機械論的に説明しようとする試みにあります。しかし、ラ・メトリの機械論を深く理解する上で、時間という概念は重要な意味を持ちます。

ラ・メトリは、人間を複雑な機械と捉え、その機能はすべて物質的な運動と相互作用によって説明できると主張しました。これは、当時の主流であった、精神と肉体を別個の実体とみなすデカルト的な考え方を否定するものでした。ラ・メトリは、思考や感情といった精神活動も、脳という物質の運動の結果として生じるのであり、非物質的な魂のようなものを想定する必要はないと論じます。

この機械論的な人間観において、時間は人間の構成要素の一つとしてではなく、むしろ人間の機能を理解するための枠組みとして現れてきます。ラ・メトリは、人間の身体を時計のような機械に喩え、その精巧な構造と運動の連鎖によって生命現象が維持されていると説明しました。そして、この生命という機械の運動は、時間的な経過の中で進行していくものであり、時間なしに生命活動を捉えることはできません。

例えば、ラ・メトリは、人間の成長や老化といった現象を、時間経過に伴う身体という機械の摩耗や変化として説明しようとしました。また、感覚や知覚についても、外部からの刺激に対する身体の機械的な反応として捉え、その反応速度や持続時間といった時間的な側面を重視しました。

ラ・メトリの著作において、時間そのものについての詳細な考察は展開されていません。しかし、彼の機械論的な人間観において、時間という概念が重要な役割を果たしていることは明らかです。 時間は、人間の生命活動を規定する重要な要素として、ラ・メトリの機械論を理解する上で欠かせない概念と言えるでしょう。

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