ランブレヒトのドイツ史の思想的背景
ランブレヒトと彼の時代
カール・ゴットハルト・ランブレヒト(1856-1915)は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したドイツの歴史家です。彼は、プロイセンの歴史学派の影響を受けながらも、それを乗り越えようとする立場に立ち、政治史中心の叙述を批判し、社会経済的な側面からの歴史記述を試みました。
ドイツ史叙述における新機軸
ランブレヒトは、従来のドイツ史研究が政治史や英雄史に偏っている点を批判し、国民全体の歴史を描くことを目指しました。彼は、政治・経済・社会・文化といった多様な側面からドイツ史を捉え、民衆の生活や文化にも目を向けました。
国民国家と歴史叙述
ランブレヒトのドイツ史叙述は、当時のドイツの置かれた状況と無関係ではありません。1871年にプロイセン主導でドイツ統一が達成されましたが、国内には様々な地域や文化が存在しており、真の意味での国民統合は依然として課題でした。ランブレヒトは、国民国家建設が進む中で、共通の歴史認識の必要性を認識し、自らのドイツ史叙述を通じて、国民統合に貢献しようとしたと考えられます。
歴史学の方法論
ランブレヒトは、史料批判に基づいた実証的な歴史研究を重視しました。彼は、一次史料を徹底的に収集・分析し、そこから歴史的事実を客観的に明らかにしようとしました。