ランケの世界史を面白く読む方法
ランケの世界史を楽しむための心得
レオポルト・フォン・ランケの『世界史』は、19世紀の歴史学を代表する名著とされながらも、その膨大な量と詳細な記述から、読み通すこと自体が容易ではありません。しかし、いくつかのポイントを押さえることで、この歴史の巨編をより深く、そして面白く楽しむことができるでしょう。
歴史の語り部、ランケの人物像に迫る
まずは、ランケという歴史家のことを知ることから始めましょう。ランケは「客観的な歴史記述」を目指したことで知られていますが、彼の生きた時代背景や思想、歴史観を知ることで、『世界史』に込められたメッセージや、行間を読み解く手がかりが見えてきます。
19世紀のヨーロッパは、フランス革命やナポレオン戦争を経て、近代国家が形成されつつある激動の時代でした。ランケ自身も、保守主義的な立場から、歴史を通して国家や民族のあり方を問うていました。
時代背景を踏まえ、世界史の大きな流れを掴む
『世界史』は、古代から16世紀までの世界史を網羅した壮大な作品です。そこで、それぞれの時代背景を理解し、世界史の大きな流れを掴むことが重要となります。
例えば、古代ギリシャ・ローマ世界から中世ヨーロッパへの移り変わり、イスラム文明の興隆とヨーロッパ世界への影響、ルネサンスや宗教改革といった大きな転換点に注目することで、歴史のダイナミズムを感じ取ることができるでしょう。
興味関心に従い、深掘りするテーマを見つける
『世界史』は、政治、経済、宗教、文化など、多岐にわたるテーマを扱っています。歴史上の人物、特定の国や地域、あるいは戦争や革命といった出来事など、自分が特に興味や関心を持つテーマを見つけ、深掘りしていくのも良い方法です。
例えば、カール大帝やジャンヌ・ダルクといった歴史上の英雄、あるいは十字軍や三十年戦争といった大きな戦争について、他の資料も参照しながら理解を深めることで、『世界史』の世界がより立体的に見えてくるはずです。
原文に触れ、ランケの筆致を味わう
可能であれば、翻訳版だけでなく、ランケの原文にも触れてみましょう。ランケの文章は、格調高く、叙情的であり、歴史を生き生きと描写することに長けています。
原文を読むことで、ランケの思想や歴史観をより直接的に感じ取ることができるだけでなく、翻訳では失われてしまう微妙なニュアンスや表現の妙を楽しむことができるでしょう。