ランケの世界史を読んだ後に読むべき本
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世界史の構造
ランケの『世界史』を読み終えた後、歴史認識を深化させるためには、歴史を大きな枠組みで捉え直すことが重要となります。そこでおすすめしたいのが、歴史家・内藤湖南の主著『**世界史の構造**』です。
ランケは、史料批判に基づいた客観的な歴史叙述を目指し、各国家や時代の個性を重視しました。一方、内藤は、東洋と西洋という対比的な視点から世界史を捉え、歴史を貫く法則性を見出そうとしました。
『世界史の構造』では、まず、世界史の中心を占める地域として、アジアの「東洋」とヨーロッパの「西洋」を対置します。そして、東洋を「歴史を凝縮した」時間軸を重視する世界、西洋を「空間的発展」を重視する世界として対比的に捉え、それぞれの歴史的特質を明らかにします。
内藤は、東洋と西洋の歴史の推移を分析しながら、世界史における「中心」と「周辺」の関係に着目します。彼は、歴史の各時代において、文化や経済の中心となった地域が周辺地域に影響を与えながら世界史が展開していくという、ダイナミックな歴史像を描きます。
さらに、内藤は、東洋と西洋の接触が世界史に大きな転換をもたらすと主張します。彼は、近代における西洋文明の隆盛を、東洋文明との接触を通して西洋が活性化した結果として捉えます。
内藤の歴史観は、現代においてもなお重要な示唆を与えてくれます。グローバリゼーションが加速する現代において、世界各地の文化や歴史を理解し、相互に尊重し合うことの重要性はますます高まっています。内藤の東洋と西洋という枠組みは、現代世界を理解するための新たな視点を提供してくれるでしょう。
『世界史の構造』は、ランケとは異なる視点から世界史を捉え直すことで、歴史認識を深化させるための格好の書と言えるでしょう。