ランケの世界史を読む前に
ランケと「世界史」を理解する
レオポルト・フォン・ランケ(1795-1886)は、近代歴史学の父と称されるドイツの歴史家です。彼の主著『世界史』は、膨大な史料に基づいて古代から16世紀までの歴史を叙述した monumental な作品として知られています。
しかし、現代の私たちにとって、ランケの歴史観や史料批判は必ずしもそのまま通用するものではありません。彼はあくまでも19世紀の人であり、当時のヨーロッパ中心主義的な歴史観から完全に自由であったとは言えないからです。
また、ランケは史料を客観的に解釈し、「ありのままに」歴史を記述することを目指しましたが、完全に客観的な歴史叙述は不可能です。歴史家は常に、自身の生きている時代の影響を受けながら、過去の出来事を解釈しているからです。
したがって、『世界史』を読む際には、それが書かれた時代背景やランケ自身の歴史観を理解しておくことが重要です。彼の歴史観の特徴としては、以下の点が挙げられます。
* 史料批判の重視:ランケは、歴史研究の基礎は一次史料の批判的な分析にあると主張しました。
* 政治史中心主義:彼は政治や外交を中心とした歴史叙述を行い、社会や文化などの分野にはあまり関心を示しませんでした。
* 国家中心史観:ランケは、歴史の主体はあくまでも国家であると考え、個人の役割を軽視する傾向がありました。
目的意識を持つ
『世界史』は全16巻にも及ぶ大著であり、通読するには相当な時間と労力を要します。そのため、漫然と読み始めるのではなく、あらかじめ目的意識を持つことが大切です。
例えば、「古代ギリシャの民主政治について深く知りたい」「宗教改革がヨーロッパ社会に与えた影響について考察したい」といった具体的なテーマを設定することで、読書のモチベーションを維持することができます。
また、最初から全巻を読むことにこだわらず、興味のある時代や地域から読み進めるのも良いでしょう。
適切な参考書を活用する
『世界史』は古典的名著であるだけに、多くの解説書や研究書が出版されています。これらの参考書を活用することで、ランケの歴史観や『世界史』の内容をより深く理解することができます。
特に、ランケの生涯や思想、史学史における位置づけなどを解説した伝記や概説書は、事前に読んでおくと役に立つでしょう。
また、『世界史』の内容をより分かりやすく解説した入門書や、特定の時代や地域に焦点を当てた専門書も、必要に応じて参照すると良いでしょう。