## ランケの世界史の案内
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レオポルト・フォン・ランケとは?
レオポルト・フォン・ランケ(1795-1886)は、ドイツの歴史家であり、近代歴史学の founding father の一人として広く認められています。彼は、一次資料に基づいた客観的な歴史記述を重視し、歴史家はその時代の価値観から自由になるべきだと主張しました。彼の厳密な史料批判と客観性へのこだわりは、歴史学を学問分野として確立する上で重要な役割を果たしました。
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「ランケの世界史」とは?
「ランケの世界史」は、ランケが晩年に取り組んだ壮大な歴史書です。彼は歴史を全体として捉え、古代から16世紀までの世界史を網羅しようと試みました。しかし、ランケは全巻を完成させることなく1888年に亡くなりました。彼の死後、弟子たちによって編集・出版された「世界史」は、全12巻、5,400ページを超える大著となっています。
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「ランケの世界史」の内容は?
「ランケの世界史」は、古代オリエントから始まり、古代ギリシャ・ローマ、中世ヨーロッパ、ルネサンス、宗教改革、そして16世紀のヨーロッパまでを扱っています。ランケは、政治史を中心としながらも、文化、宗教、経済など、様々な側面から歴史を描写しました。特に、彼は各時代における「主要な勢力」の相互作用に焦点を当て、歴史のダイナミズムを明らかにしようとしました。
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「ランケの世界史」の特徴は?
「ランケの世界史」は、以下の点で特徴付けられます。
* **史料批判の重視**: ランケは、一次資料に基づいた客観的な歴史記述を重視し、史料の批判的な分析に多くの時間を費やしました。
* **政治史中心主義**: ランケは、政治を歴史の主要な driving force と見なし、政治史を中心に歴史を記述しました。
* **物語的な文体**: ランケは、客観性を重視しながらも、読みやすい物語的な文体で歴史を描写しました。
* **ヨーロッパ中心主義**: ランケは、ヨーロッパ史を世界史の中心に据え、他の地域の歴史はヨーロッパとの関連で記述される傾向がありました。
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「ランケの世界史」の評価は?
「ランケの世界史」は、出版当時から高い評価を受け、歴史学の古典として広く読まれてきました。特に、彼の厳密な史料批判と客観性へのこだわりは、その後の歴史学に大きな影響を与えました。しかし、近年では、彼の政治史中心主義やヨーロッパ中心主義に対する批判も出てきています。
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「ランケの世界史」を読む際の注意点は?
「ランケの世界史」を読む際には、以下の点に注意する必要があります。
* **膨大な量**: 全12巻、5,400ページを超える大著であるため、通読するには相当な時間と労力が必要です。
* **古い時代の作品**: 19世紀後半の作品であるため、現代の歴史学の知見と異なる点があります。
* **ヨーロッパ中心的な視点**: ランケは、ヨーロッパ史を世界史の中心に据えているため、他の地域の歴史については断片的な記述にとどまっている場合があります。