## ランケの世界史の思考の枠組み
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国民それぞれの固有性
ランケは、ヘーゲルのような普遍的な歴史法則を想定して歴史を解釈する立場を批判し、それぞれの国民や国家は、地理、気候、民族的性格などによって規定される固有の「理念」(イデー)を持つと考えました。 彼はこれを「個体的」と表現し、普遍的な歴史法則よりも、それぞれの国民や国家の個性を重視しました。
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歴史における神の摂理
ランケは、歴史は神の摂理によって導かれていると考えていました。 ただし、それは歴史に直接介入するという意味ではありません。 ランケは、それぞれの時代の出来事や、それぞれの国民の個性を生み出した背後には、神の意図が働いていると考えました。 これは、歴史を神の目的に向かって進歩発展するものとしてではなく、それぞれの時代の固有性を認め、それを通して神の摂理を理解しようとする姿勢を示しています。
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一次史料重視
ランケは、歴史研究において一次史料の重要性を強調しました。一次史料とは、過去の出来事を記録したオリジナルの資料、例えば公文書、日記、手紙、回顧録などを指します。彼は、これらの史料を批判的に分析することで、過去の出来事をより正確に理解できると考えました。
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客観的な歴史記述
ランケは、歴史家の役割は、過去の出来事をありのままに記述することであると考えました。 「歴史はただ、本来のあった姿を語ってくれるにすぎない」という言葉は、彼の歴史観をよく表しています。 彼は、歴史家が自身の主観や偏見を歴史記述に持ち込むべきではなく、あくまでも客観的な立場から過去の事実を明らかにすべきだと主張しました。