ランケの世界史に影響を与えた本
歴史叙述における客観性の重要性
レオポルト・フォン・ランケは19世紀の歴史学に多大な影響を与えたドイツの歴史家で、「近代歴史学の父」と称されることもあります。彼の歴史観は、当時の歴史叙述に蔓延していた主観性や偏見を排除し、史料批判に基づいた客観的な歴史記述を目指そうとするものでした。
「プロイセンの歴史」の影響
ランケの歴史観に影響を与えた書物として、ヨハン・ハインリッヒ・トゥルマイアーの「プロイセンの歴史」（Geschichte des Preußischen Staats.）が挙げられます。トゥルマイアーはハレ大学でランケの師にあたる人物であり、啓蒙主義的な歴史観を持ちながらも、史料批判の重要性を説いた歴史家でした。
史料批判の重視
「プロイセンの歴史」は、当時のプロイセンの歴史書としては珍しく、豊富な史料に基づいた記述がなされていました。トゥルマイアーは、史料の信頼性を吟味し、史料同士を比較検討することで、歴史的事実を客観的に明らかにしようとしました。
ランケへの影響
ランケはこのトゥルマイアーの姿勢に感銘を受け、自らの歴史研究においても史料批判を重視するようになりました。彼は「史料を語るがままに」（wie es eigentlich gewesen）という有名な言葉を残していますが、これはトゥルマイアーから受け継いだ史料批判の重要性を端的に表しています。
歴史叙述における客観性
「プロイセンの歴史」は、ランケに史料批判の重要性を認識させ、客観的な歴史記述を目指すきっかけを与えました。ランケはその後、古代から近代に至るまでの西洋史を幅広く研究し、多数の歴史書を著しましたが、そのいずれもが史料批判に基づいた客観的な歴史記述を目指したものでした。
歴史学の発展への貢献
ランケはトゥルマイアーの「プロイセンの歴史」から影響を受け、史料批判に基づいた歴史研究の方法を確立しました。彼の歴史観は、その後の歴史学に多大な影響を与え、近代歴史学の発展に大きく貢献しました。