ラブレーのガルガンチュアとパンタグリュエルの対極
「ガルガンチュアとパンタグリュエル」の特徴
フランソワ・ラブレーによるルネサンス期を代表する物語「ガルガンチュアとパンタグリュエル」は、巨大な体を持つ巨人、ガルガンチュアとその息子パンタグリュエルの冒険を通して、当時の社会、宗教、文化を風刺的に描いています。
風刺とユーモアに満ちた作風
奔放な表現、グロテスクな描写、猥雑な言葉遊び、風刺とユーモアが特徴です。 ルネサンス期の新しい価値観である人間性や自由を賛美する一方で、教会や旧来の権威、学問などを痛烈に批判しています。
「ガルガンチュアとパンタグリュエル」の対極となりうる作品群
「ガルガンチュアとパンタグリュエル」の対極に位置する作品を一つに絞ることは困難です。
しかし、その特徴から「対極」となりうる作品群を、根拠と共に以下に提示します。
１. 厳格な宗教観に基づく作品 – 「神曲」ダンテ
「ガルガンチュアとパンタグリュエル」が人間性の解放や自由を謳歌する一方で、中世のキリスト教的世界観に基づき、人間の罪と罰、そして神の救済を描いた作品です。
２. 禁欲的なまでのストイックさを描く作品 – 「懺悔録」アウグスティヌス
「ガルガンチュアとパンタグリュエル」の享楽的な側面とは対照的に、人間の肉的な欲望を罪と捉え、神の愛を求めて苦悩する内面を赤裸々に描いた作品です。
３. 古典的な文体で書かれた教養主義的作品 – 「ユートピア」トマス・モア
「ガルガンチュアとパンタグリュエル」の奔放な文体とは対照的に、古典的なラテン語で書かれた作品です。 理想社会を論じるという点では共通していますが、「ユートピア」は理性や秩序を重視しており、「ガルガンチュアとパンタグリュエル」に見られるような猥雑さやグロテスクさは存在しません。
「対極」の位置づけの難しさ
「ガルガンチュアとパンタグリュエル」は、文学史において非常に特異な作品であり、その多様性ゆえに、対極にある作品を明確に特定することは困難です。 上記に挙げた作品群は、「ガルガンチュアとパンタグリュエル」の持つある側面において対照的な特徴を持つ作品として提示しました。