## ラブレーのガルガンチュアとパンタグリュエルの対称性
対照的な父子関係
フランソワ・ラブレーの「ガルガンチュアとパンタグリュエル」は、巨人であるガルガンチュアとその息子パンタグリュエルの物語ですが、この父子には多くの点で対照性が見られます。
まず、ガルガンチュアの誕生と幼少期は、中世的な価値観と結びついています。彼は伝統的な教育を受け、その愚直さは滑稽さを生み出します。一方、パンタグリュエルは、ルネサンス期の人文主義の影響を強く受け、パリ大学で学問を修め、合理的で思慮深い人物として描かれます。
彼らの性格も対照的です。ガルガンチュアは、豪快で、食欲旺盛、そしてやや単純なところがあります。対してパンタグリュエルは、知性と理性、そして穏やかな性格の持ち主として描かれています。
物語構造における対称性
この作品は全５部から構成されていますが、ガルガンチュアの物語とパンタグリュエルの物語は、それぞれ独立した物語として読むことも可能です。
第１部と第２部は、それぞれガルガンチュアの誕生から教育、そして王位継承まで、そしてパンタグリュエルの誕生から教育、そして冒険の旅立ちまでが描かれています。
このように、物語の構成自体に、父子それぞれの成長と冒険を描写するという対称性が見て取れます。
言語表現における対称性
ラブレーは、その作品において、ラテン語やギリシャ語、イタリア語など、様々な言語を駆使し、言葉遊びや風刺を効果的に用いています。
その中でも、ガルガンチュアの物語では、粗野で下品な表現が多く用いられるのに対し、パンタグリュエルの物語では、より洗練された表現が増えていきます。
この違いは、それぞれの時代背景や、父子の性格の違いを反映していると考えられます。