## ラブレーのガルガンチュアとパンタグリュエルの感性
ルネサンスの影響
人間の理性と経験の重要性を説くルネサンス期に書かれた「ガルガンチュアとパンタグリュエル」は、中世のスコラ哲学的な伝統から脱却し、人間中心主義的な世界観を強く打ち出しています。作中では、古典文学や哲学、自然科学など、多岐にわたる分野の知識が縦横無尽に語られており、当時の知識人たちの知的な好奇心の高まりを反映しています。
グロテスクと諧謔
ラブレーの作品の特徴として挙げられるのが、グロテスクな描写と猥雑なユーモアです。排泄物や性的な描写が頻繁に登場し、現代の読者から見ると不快に感じる部分もあるかもしれません。しかし、これらの描写は単なる悪趣味ではなく、中世的な価値観や権威に対する痛烈な風刺として機能しています。
ユートピア思想
「ガルガンチュアとパンタグリュエル」には、理想的な修道院「テレム修道院」が登場します。そこでは、従来の宗教的な戒律は存在せず、個人の自由と自律が尊重されています。このテレム修道院は、ラブレーのユートピア思想を体現したものであり、当時の社会に対する批判的なまなざしが込められています。
言語遊戯とパロディ
ラブレーは、ラテン語やギリシャ語、フランス語の方言などを駆使した巧みな言葉遊びを作品に散りばめています。また、聖書や神話、騎士道物語など、さまざまなジャンルの作品のパロディも頻繁に登場します。これらの要素は、読者に知的興奮と笑いを提供すると同時に、既存の権威や常識を相対化する役割も担っています。