## ラブレーのガルガンチュアとパンタグリュエルに匹敵する本
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セルバンテスの「ドン・キホーテ」
「ガルガンチュアとパンタグリュエル」と同様に、「ドン・キホーテ」もルネサンス期に書かれた、風刺と諧謔に満ちた作品です。
「ドン・キホーテ」は、騎士道ロマンスに心酔しすぎてしまった老郷士アロンソ・キハーナが、自らを騎士ドン・キホーテと名乗り、従者のサンチョ・パンサと共に繰り広げる冒険譚です。現実と妄想の境界線が曖昧になる様や、社会の矛盾、人間の愚かさなどが、風刺を交えて描かれています。
両作品とも、当時の社会や文化に対する痛烈な批判を含みながらも、人間への深い愛情とユーモアに溢れている点が共通しています。
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ジョイスの「ユリシーズ」
「ユリシーズ」は20世紀モダニズム文学を代表する作品であり、「ガルガンチュアとパンタグリュエル」のように、その実験的な文体と言語表現が特徴です。
「ユリシーズ」は、ダブリンに住む平凡なユダヤ人青年レオポルド・ブルームの一日を、古代ギリシャの叙事詩「オデュッセイア」の構成になぞらえて描いています。意識の流れを多用した複雑な文章や、神話、歴史、哲学などを織り交ぜた多層的な構造は、「ガルガンチュアとパンタグリュエル」に見られるような、言語遊戯や博識さを駆使した作風を彷彿とさせます。
両作品は、一見難解でとっつきにくい印象を与えますが、根底には人間存在に対する深い洞察と、文学の可能性を押し広げようとする革新的な精神が流れています。