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ラブレーのガルガンチュアとパンタグリュエルに影響を与えた本

## ラブレーのガルガンチュアとパンタグリュエルに影響を与えた本

影響を与えた作品:

ルカヌスの『内乱記』

マルクス・アンナエウス・ルカヌスによる叙事詩『内乱記』(別名『ファルサリア』)は、紀元前1世紀のローマ共和政末期の内乱を描いた作品であり、フランソワ・ラブレーの『ガルガンチュアとパンタグリュエル』に多大な影響を与えたと考えられます。表面上は風刺的で笑いに満ちた物語であるガルガンチュアとパンタグリュエルですが、その根底にはルカヌスの作品に見られる政治的、社会的テーマや文学的手法に対する深い共鳴が見られます。

影響と共通点:

まず挙げられるのは、両作品における「戦争の愚かさ」というテーマの共通性です。『内乱記』は、カエサルとポンペイの対立を軸に、内乱の悲惨さ、無意味さを痛烈に描き出しています。ラブレーは、ガルガンチュアとピクロコールとの戦争を通して、このルカヌスのテーマを風刺的に表現しました。ピクロコールの傲慢さ、戦争の無益さは、ルカヌスが描いたローマ内乱の悲劇を彷彿とさせます。

また、両作品とも、当時の権力者や社会体制に対する痛烈な風刺に満ちている点が共通しています。ルカヌスは『内乱記』で、共和制の堕落、カエサルの独裁を批判しました。ラブレーもまた、教会の腐敗、学問の硬直化などを、登場人物たちの滑稽な言動を通して風刺しています。

文学的手法においても、『内乱記』の影響は色濃く見られます。ルカヌスは壮大なスケールで叙事詩を描き、神々の介入や英雄たちの活躍を描写しました。ラブレーは、ガルガンチュアやパンタグリュエルの超人的な能力、グロテスクな描写、奇想天外なエピソードなどを通して、ルカヌスが用いた叙事詩的手法をパロディとして取り入れています。

さらに、両作品ともラテン語で書かれた古典文学作品であるという点は見逃せません。ラブレーは古典文学に精通しており、ルカヌスの作品からも多くの影響を受けたと考えられます。

まとめ:

『内乱記』に見られる戦争の愚かさ、権力への風刺、壮大なスケール、そして古典文学としての位置付けは、『ガルガンチュアとパンタグリュエル』の根底に流れるテーマや表現手法と深く共鳴しています。ルカヌスの作品は、ラブレーに多大な影響を与え、彼の代表作を形成する上で重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

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