ラッセルの数理哲学序説の関連著作
フレーゲ『概念記法』
1879年に出版されたゴットロープ・フレーゲの『概念記法』は、論理主義と呼ばれる数学の哲学に大きな影響を与えた作品です。論理主義は、数学の真理はすべて論理の真理に還元できるという立場であり、ラッセルもこの立場を支持していました。『概念記法』でフレーゲは、数学だけでなく、あらゆる推論を表現できるような形式言語を作り上げようとしました。これは、自然言語の曖昧さを排除し、より厳密な思考を可能にするためでした。
ホワイトヘッド、ラッセル共著『プリンキピア・マテマティカ』
『プリンキピア・マテマティカ』は、アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドとバートランド・ラッセルによって共同執筆され、1910年から1913年にかけて出版されました。全3巻からなるこの大著は、数学の論理主義的基礎づけを目指したもので、ラッセルの『数理哲学序説』よりもさらに本格的な試みでした。彼らは、数学の基礎的な概念や定理を、記号論理学を用いて厳密に定義し、証明しようと試みました。
ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』
ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』は、1921年に出版された、20世紀の哲学に多大な影響を与えた作品です。ウィトゲンシュタインは、かつてラッセルの弟子であり、『論理哲学論考』はラッセルの論理哲学の影響を強く受けています。しかし、ウィトゲンシュタインは、ラッセルとは異なり、論理は世界を写し出す鏡ではなく、世界を組織化する枠組みであると主張しました。
ゲーデル『数学原理および関連体系における形式的に決定不可能な命題について』
クルト・ゲーデルの論文『数学原理および関連体系における形式的に決定不可能な命題について』は、1931年に発表され、数学の基礎に関する研究に大きな影響を与えました。ゲーデルは、この論文の中で、形式的に完全な算術の体系は存在しないことを証明しました。これは、『プリンキピア・マテマティカ』のような、数学の完全な形式化を目指した試みにとって、大きな打撃となりました。