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ラッセルの数理哲学序説の選択

## ラッセルの数理哲学序説の選択

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ラッセルの数理哲学序説における選択の概念

バートランド・ラッセルの『数理哲学序説』では、”選択”は集合論の文脈において重要な役割を果たします。しかし、本書における”選択”は、我々が日常的に用いる意味での”選択”とは異なる側面を持っています。

まず、ラッセルは数学、特に集合論を論理に基づいて構築することを目指しました。そのため、”選択”もまた論理的な操作として定義されます。具体的には、ある集合の要素から一つずつ要素を選び出して新しい集合を作る操作が”選択”と捉えられます。

例えば、「すべての自然数を含む集合」から、それぞれの自然数に対応する「その自然数のみを含む集合」を選び出して新しい集合を作る操作が考えられます。この操作は、直感的にはそれぞれの集合から一つずつ要素を選んで新しい集合を作っていると解釈できます。

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選択公理とラッセルの立場

上記のような”選択”の操作は自明のように思えるかもしれませんが、無限集合を扱う場合にはそうとは限りません。そこで、集合論においては”選択公理”と呼ばれる公理が導入されます。

選択公理は、簡単に言えば、「どのような集合の集まり(ただし空集合は含まない)に対しても、それぞれの集合から一つずつ要素を選んで新しい集合を作ることができる」ということを主張する公理です。

ラッセル自身は選択公理の妥当性については慎重な立場を取っていました。選択公理を用いることで数学において様々な便利な結果が得られる一方で、直感的に明らかとは言えない側面も持ち合わせていたためです。

ラッセルは選択公理を積極的に肯定も否定もせず、選択公理を用いることでどのような結果が得られるか、また選択公理を用いない体系ではどのような議論が可能になるのかを考察しました。

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選択公理と関連する数学的議論

ラッセルの『数理哲学序説』では、選択公理を用いることで証明できる命題の例として、ツェルメロの整列可能定理などが紹介されています。

整列可能定理は、「任意の集合は整列集合にすることができる」という定理です。整列集合とは、任意の空でない部分集合が最小元を持つような集合のことです。

整列可能定理は、選択公理と同値であることが知られています。つまり、選択公理を仮定すれば整列可能定理を証明することができ、逆に整列可能定理を仮定すれば選択公理を証明することができます.

ラッセルは、選択公理のような一見自明とは思えない公理から、整列可能定理のような非自明な結果が導かれることに興味を抱き、その数学的、哲学的意義について考察しました。

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