ラッセルの数理哲学序説の感性

ラッセルの「数理哲学序説」は、その主題や論理的な厳密さから、感情や感性を直接的に扱った作品ではありません。むしろ、数学の基礎を論理学によって構築することを目指した、分析哲学の代表的な著作として知られています。

本書においてラッセルは、数学的概念を論理的な記号を用いて定義し、数学の定理を論理学の公理から導き出すことを試みています。その過程で、従来の数学における直観や常識に頼らない、厳密な論理に基づいた議論を展開しています。

ラッセルの論理主義的な立場は、数学の客観性や確実性を保証するものとして、彼自身の哲学的信念と密接に関係しています。彼は、人間の感覚や感情は主観的で曖昧なものですが、論理は客観的で普遍的な真理を表すものだと考えていました。

したがって、「数理哲学序説」においては、感性や感情は論理的な分析の対象としてではなく、むしろ排除されるべきものとして扱われていると解釈することができます。ラッセルの関心は、人間の主観的な経験ではなく、客観的な論理の構造を明らかにすることにあったと言えるでしょう。