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ラッセルの数理哲学序説の対称性

## ラッセルの数理哲学序説の対称性

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関係の対称性

ラッセルは、関係の性質について深く考察し、その中で対称性についても明確な定義を与えています。彼は、関係Rについて、「xRy が成り立つとき、つねに yRx が成り立つ」場合に限り、その関係Rは対称的であると述べています。

例えば、「xはyと等しい」という関係は対称的です。なぜなら、もしxがyと等しいなら、yもまたxと等しいからです。これは自明に思えるかもしれませんが、ラッセルはこのような厳密な定義によって、数学の基礎を築こうとしていたのです。

一方、「xはyより大きい」という関係は対称的ではありません。なぜなら、もしxがyより大きい場合、yはxより大きくないからです。ラッセルは、このような非対称的な関係もまた、数学や論理学において重要な役割を果たすと考えていました。

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数学的概念における対称性

ラッセルは、数や論理学といった数学の基本的な概念においても、対称性が重要な役割を果たしていると主張しました。例えば、彼は自然数を定義する際に、後継者という概念を用いました。

後継者とは、ある数に対して、その数より1だけ大きい数を指します。例えば、1の後継者は2であり、2の後継者は3です。ラッセルは、この後継者の概念を用いることで、自然数を順序立てて定義することができました。

この後継者の概念は、一見すると非対称的な関係のように思えるかもしれません。しかし、ラッセルは、後継者の概念を逆向きにたどることで、一種の対称性が生まれていると指摘しました。

例えば、3の先行者は2であり、2の先行者は1です。このように、後継者と先行者の関係は、ある意味で対称的であると言えるでしょう。ラッセルは、このような対称性が、数学的概念の整合性を保つ上で重要な役割を果たしていると示唆しました。

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対称性の限界

ラッセルは、対称性の重要性を認識していましたが、同時にその限界についても言及しています。彼は、すべての関係が対称的であるわけではないことを強調し、非対称的な関係もまた、世界を理解する上で不可欠であると主張しました。

例えば、「xはyの原因である」という関係は、明らかに非対称的です。もしxがyの原因であるならば、yはxの原因ではありません。ラッセルは、このような非対称的な関係が、因果関係や時間経過といった概念を理解する上で不可欠であると述べています。

さらに、ラッセルは、対称性を過度に追求することが、還元主義的な誤謬に陥る危険性についても警告しています。彼は、世界は複雑であり、対称性だけで全てを説明することはできないと主張しました.

ラッセルにとって、対称性は強力なツールでしたが、それはあくまでも世界を理解するための多くのツールの一つに過ぎませんでした。

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