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ラッセルの数理哲学序説の世界

## ラッセルの数理哲学序説の世界

数学と論理学の関係性

ラッセルは本書において、数学の真理は論理学の真理へと還元できると主張しました。これは、数学の概念が論理学の用語のみを用いて定義できること、そして数学の定理が論理学の公理と推論規則のみを用いて証明できることを意味します。

彼は、当時の数学の基礎には矛盾が含まれている可能性を指摘し、それを克服するために論理学に基づいた強固な土台の上に数学を再構築しようと試みました。
具体的には、集合論における「ラッセルのパラドックス」を解決するために、型理論を導入しました。

集合論とラッセルのパラドックス

ラッセルのパラドックスは、素朴集合論に内在する矛盾を明らかにしたことで知られています。
「自分自身を含まない集合全体の集合」を考えると、それが自分自身を含むと仮定しても、含まないと仮定しても矛盾が生じてしまうという問題です。

ラッセルはこのパラドックスを回避するために、集合の要素となる対象の「型」を導入し、集合は自分自身よりも高い型のオブジェクトのみを含むという制限を設けました。
これにより、自分自身を含む集合という概念自体が排除され、パラドックスは解消されます。

記述の理論と不完全記号

ラッセルは、言語がどのように世界を記述するかという問題にも関心を持ち、「記述の理論」を展開しました。
彼は、文の意味はそれが指し示す対象によって決まると考え、文の構造を分析することで、その文がどのように世界と対応しているかを明らかにしようとしました。

また、ラッセルは「不完全記号」という概念を導入しました。これは、文脈の中でしか意味を持たない表現を指します。
例えば、「赤い」という言葉自体は意味を持ちませんが、「赤いりんご」という文脈の中では特定の色を持つりんごを指し示す意味を持ちます。

数の定義とペアノの公理

ラッセルは、数の概念を論理学の用語のみを用いて定義することを目指しました。
彼は、ジュゼッペ・ペアノによって提唱されたペアノの公理を出発点とし、自然数を「空集合から始めて、次々に要素を一つずつ追加していくことで得られる集合」として定義しました。

さらに、自然数の定義に基づいて、整数、有理数、実数などの数学的概念を論理的に構成していきました。

これらの考察は、後の数学の基礎に関する研究に大きな影響を与え、数学と論理学の関係をより明確にするための重要な一歩となりました。

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