## ラッセルの幸福論を読む前に
幸福とは何か、自分なりの定義を持っておく
ラッセルの幸福論は、普遍的な幸福の概念を提示するものではなく、彼自身の経験と考察に基づいた、独自の幸福論を展開しています。よって、ラッセルの意見にただただ流されるのではなく、彼と対話をするように、自分自身の価値観や経験に基づいた意見を持つことが重要になります。
そのために、まずは「幸福とは何か」について、自分自身に問いかけてみましょう。お金、名誉、恋愛、家族、趣味、仕事など、人によって幸福の価値観は大きく異なります。 深い思索の末に具体的な定義を導き出す必要はありません。むしろ、ラッセルの意見に触れる中で、自分自身の幸福観がどのように揺り動かされるのかを楽しむことが重要です。
「不幸」にも目を向けてみる
幸福の反対は不幸、と安易に決めつけてはいけません。
ラッセルは、幸福を構成する要素だけでなく、幸福を阻害する要因についても深く考察しています。
彼の主張をより立体的に理解するためには、私たち自身の「不幸」にも目を向けてみる必要があります。
過去の辛い経験、現在抱えている悩み、将来への不安など、目を背けたくなるような感情と向き合うことは容易ではありません。
しかし、ネガティブな感情と向き合うことを通して、自身の弱さや脆さを認め、そこから真の幸福へと繋がる道筋が見えてくることもあります。
現代社会とラッセルの主張を比較してみる
ラッセルの幸福論は、1930年に書かれたものです。それから約100年、世界は大きく変化しました。
情報化社会の進展、AIの台頭、SNSの普及など、ラッセルの時代には想像もつかなかったような変化が、現代社会の幸福にも大きな影響を与えています。
幸福論を読む前に、現代社会が抱える問題や幸福の形について考えてみましょう。
そして、ラッセルの主張と比較することで、時代を超えて普遍的な幸福の本質と、時代と共に変化する幸福の条件が見えてくるはずです。