## ラッセルの幸福論の美
ラッセルの幸福論における「美」の位置づけ
バートランド・ラッセルの『幸福論』は、幸福を獲得するための具体的な方法を提示することに主眼を置いた書です。その中で「美」は、幸福を構成する重要な要素の一つとして位置づけられています。ラッセルは、美的な経験がもたらす喜びは、人生に大きな幸福をもたらすと述べています。
ラッセルが考える「美」の広がり
ラッセルにとって「美」は、単に絵画や音楽といった芸術作品に宿るものだけではありません。自然の風景、数学的な秩序、他者の親切な行為など、多様なものに美を見出すことができるとラッセルは説きます。
受動的な鑑賞を超えた能動的な「美」の享受
ラッセルは、美を享受する姿勢として、受動的な鑑賞だけでなく、能動的な創造を重視しています。例えば、庭いじりや日曜大工といった活動を通して、自ら美を創造する喜びを味わうことができると述べています。
「美」と「幸福」の密接な関係性
ラッセルは、美を享受することで、自己中心的な感情から解放され、心を広げることができると考えます。そして、この心の広がりが、結果として幸福へと繋がると説いています。
現代社会における「美」の重要性
ラッセルは、『幸福論』を執筆した当時、第一次世界大戦後の不安定な社会状況を背景に、人々が精神的な支えを求めていることを強く意識していました。そして、混迷の時代においてこそ、「美」のもつ力を再認識し、積極的に享受することの重要性を訴えました。