ラッセルの幸福論のメカニズム
幸福の阻害要因
ラッセルは、幸福を阻害する要因として、まず
「自己中心的な情熱」を挙げます。
自己中心的な情熱とは、個人の狭い世界に閉じこもって、自分のことばかりを考えてしまう状態を指します。
競争、富、権力への執着、虚栄心、優越性の追求などは、すべて自己中心的な情熱に分類されます。
これらの情熱は、絶えず満たされることのない欲求を生み出し、不安、不満、嫉妬、怒り、恐怖といったネガティブな感情を引き起こします。
ラッセルは、自己中心的な情熱が幸福を阻害する具体的な例として、
権力への執着を挙げます。
権力者は、常に自分の地位が脅かされる恐怖にさいなまれ、決して心が休まることがありません。
また、他者を支配することに喜びを見出すようになり、人間関係が歪んでしまいます。
ラッセルは、自己中心的な情熱から解放されるためには、
視野を広げ、自分よりも大きなものに関心を向けることが重要だと説きます。
幸福を獲得するための方法
ラッセルは、幸福を獲得するための方法として、「外的事物への執着の軽減」と「自己中心的な情熱の克服」を提唱します。
外的事物への執着を軽減するためには、「所有」よりも「経験」を重視することが重要です。
高価な車やブランド品を所有することよりも、旅行や芸術鑑賞など、心を豊かにする経験を通して幸福を感じることができます。
また、自己中心的な情熱を克服するためには、
「愛情」「仕事」「客観的な興味」の３つを人生の中心に据えることが重要です。
「愛情」とは、家族や友人、恋人など、特定の人々への愛情だけでなく、広く人類全体への愛を育むことを意味します。
「仕事」とは、単にお金を稼ぐ手段としてではなく、社会に貢献し、自分の能力を活かせるものとして捉えるべきだとラッセルは述べています。
「客観的な興味」とは、特定の人間関係や仕事にとらわれず、世界や自然、芸術、学問など、より広い世界への関心を持ち続けることを意味します。
ラッセルは、これらの３つの要素をバランスよく人生に取り入れることで、自己中心的な情熱から解放され、幸福な人生を送ることができると説いています。
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