## ラスキの国家論の美
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国家の理想と現実の対峙
ラスキは、国家論において、国家の理想と現実のギャップを鋭く指摘しています。彼は、国家を、個人を支配し抑圧する存在としてではなく、個人の自由と権利を保障し、その能力を最大限に発揮することを可能にする存在として捉えたいという理想を抱いていました。
しかし、現実の国家は、権力闘争や利害対立、そして支配階級の私利私欲のために利用されることが多く、個人の自由や権利はしばしば侵害されています。ラスキは、このような国家の現実を直視し、その矛盾と問題点を容赦なく批判しました。
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多元主義に基づく国家観
ラスキは、国家を単なる強制装置としてではなく、社会における多様な集団や団体の相互作用から生まれる有機的な存在として捉えました。彼は、個人と国家の間に、家族、地域社会、職業団体、宗教団体など、様々な中間集団が存在し、これらの集団が個人の自由と自律性を育むとともに、国家権力の集中を防ぐ役割を果たすと考えました。
このような多元主義に基づく国家観は、国家の役割を限定し、市民社会の活力を重視する点に特徴があります。ラスキは、国家が社会のあらゆる領域を支配することに対して強く反対し、個人の自由と創造性を最大限に発揮できるような社会の実現を目指しました。
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倫理的な国家の実現への強い意志
ラスキは、国家の役割を単に秩序の維持や安全保障の提供に限定するのではなく、積極的かつ倫理的な役割を担うべきだと主張しました。彼は、国家が社会正義の実現、経済的不平等是正、教育機会均等、文化振興などを通じて、個人がその能力を最大限に発揮できるような環境を創造する責任を負うと考えました。
彼の国家論は、単なる政治体制の分析を超え、人間性に対する深い洞察と、より良い社会の実現に向けた強い倫理的な意志に基づいています。