ラスキの国家論の機能
ラスキの国家論における「機能」の位置づけ
ラスキは、国家の機能を、「自由の生命を享受するために、社会の成員に対し、諸能力の最良にして最大限の発達を保障すること」と定義しています。これは、単なる秩序の維持や安全の保障といった消極的な国家観を超え、個人の自由と自己実現を積極的に促進する役割を国家に期待するものです。
国家機能発現の基盤:権力と権利の関係
ラスキは、国家の機能を果たす上で、「権力」と「権利」の関係が重要であると説きます。彼によれば、権力とは「共通の善の実現」のために社会に奉仕する手段であり、権利とは「個人が自己の能力を最大限に発達させるために不可欠な条件」を保障されることを指します。
諸機能の実現に向けた国家の役割
ラスキは、国家が上記の機能を果たすためには、以下の役割を担う必要があると考えました。
* **1. 経済活動への介入:** 経済的不平等は、個人の能力発達の機会を奪い、結果として自由の享受を阻害します。ラスキは、国家による経済活動への介入を通じて富の再分配を行い、すべての人々に平等な機会を保障することの重要性を説きました。
* **2. 教育の提供:** 教育は、個人がその潜在能力を最大限に発揮し、自由で責任ある市民として社会に参加するために不可欠です。ラスキは、国家が質の高い教育を無償で提供することを通じて、すべての人々に自己実現の機会を保障すべきだと主張しました。
* **3. 社会福祉の充実:** 病気、老齢、失業などの社会リスクは、個人の経済的自立を脅かし、自由の享受を困難にする場合があります。ラスキは、国家による社会福祉の充実を通じて、これらのリスクから人々を守り、安心して生活を送れる環境を整備する必要性を訴えました。
「積極的自由」の実現を目指す国家像
ラスキは、国家の役割を通じて「積極的自由」、すなわち「自己決定に基づき、主体的に人生を選択し、実現する自由」の実現を目指しました。これは、単に外部からの束縛がない状態を指す「消極的自由」を超え、個人が自らの能力を最大限に発揮し、自己実現を通じて社会に貢献できる状態を理想とするものです。
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