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ラスキの国家論の案内

ラスキの国家論の案内

ラスキの国家論の概要

ハロルド・ラスキ(Harold Laski, 1893-1950)は、イギリスの政治学者・思想家であり、20世紀前半に多大な影響を与えた、多元的国家論で知られています。彼の国家論は、初期には国家主権を擁護していましたが、後年には、国家を超えた多元的な社会集団の重要性を強調する立場へと変化しました。

初期の国家論:国家主権の擁護

初期のラスキは、国家の役割と重要性を強く主張していました。第一次世界大戦後の社会不安や経済危機を目の当たりにし、国家こそが秩序を回復し、社会正義を実現するための手段だと考えたのです。彼は、国家は積極的な介入によって、社会福祉の充実や経済の安定化を図るべきだと主張しました。

後期の国家論:多元主義と社会主義

しかし、1930年代に入ると、ナチス・ドイツやソ連における全体主義国家の台頭を目の当たりにし、国家への強い権力集中は、個人の自由や権利を脅かす危険性があると認識するようになります。この経験から、国家に対する見方を大きく転換させ、国家の権力を制限し、個人の自由を保障する必要性を強く訴えるようになりました。

多元的国家論

後期のラスキは、国家以外にも、労働組合、教会、市民団体など、様々な社会集団が重要な役割を果たすと考えました。これらの集団は、国家の権力に拮抗し、個人の自由を守る役割を担うと考えたのです。このような考え方を、多元主義(Pluralism)と呼びます。ラスキは、国家はこれらの多元的な社会集団を調整し、共通の利益を実現するための役割を担うべきだと主張しました。

社会主義との関連

ラスキは、多元主義と並んで、社会主義を重視していました。彼は、資本主義社会における経済的不平等が、真の自由を阻害していると批判し、より平等な社会を実現するために、社会主義的な政策が必要だと考えました。

影響と評価

ラスキの国家論は、現代の政治思想に大きな影響を与えており、特に多元主義の考え方は、現代社会における国家と社会の関係を考える上で重要な視点を提供しています。しかし、具体的な政策提言には欠ける部分もあり、その点については批判もあります。

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