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ラスキの国家論の対極

## ラスキの国家論の対極

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ハイエク『隷属への道』

オーストリア出身の経済学者・政治哲学者フリードリヒ・アウグスト・フォン・ハイエクの主著『隷属への道』(1944年)は、全体主義や社会主義の計画経済を批判し、自由主義、個人主義、自由市場経済の重要性を説いた書です。これは、国家による積極的な介入を肯定的に捉え、社会福祉の充実を重視したラスキの国家論とは対照的な立場を示しています。

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ハイエクの主張

ハイエクは、ナチス・ドイツやソビエト連邦における全体主義体制の台頭を目の当たりにし、国家による経済への介入が個人の自由を奪い、最終的には全体主義へとつながると主張しました。計画経済においては、限られた資源配分や生産目標の設定など、経済活動に関する重要な決定は国家によって行われます。ハイエクはこのような中央集権的なシステムが、個人の自由な選択を制限し、政府による恣意的な支配を生み出すと考えました。

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自由と市場の重視

ハイエクは、真の自由を実現するためには、政府の役割は限定的でなければならないと主張しました。政府は、個人の自由と安全を保障するための最小限の機能(国防、司法、治安維持など)に集中し、経済活動への介入は最小限に抑えるべきだと考えました。

ハイエクは、自由な市場メカニズムこそが、資源を効率的に配分し、経済成長を生み出す最善の方法だと考えました。市場における価格メカニズムは、需要と供給を調整し、個々の経済主体の自由な選択に基づいて資源を最適に配分する役割を果たします。政府による介入は、この自然な調整メカニズムを歪め、非効率性を生み出すとハイエクは批判しました。

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ラスキとの対比

ハイエクの主張は、国家の積極的な役割と社会福祉の充実を重視するラスキの国家論とは対照的です。ラスキは、国家を社会正義を実現するための重要な主体と捉え、政府による積極的な介入を通じて、貧困や不平等などの社会問題を解決できると考えました。

一方、ハイエクは、個人の自由を最大限に尊重し、市場メカニズムによる自己調整機能を重視しました。ハイエクにとって、国家による過度な介入は、個人の自由を脅かし、経済の効率性を損なうものでした。

このように、ハイエクの『隷属への道』は、ラスキの国家論とは全く異なる視点から国家と個人の関係を論じた書であり、20世紀の政治思想に大きな影響を与えました.

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