## ラシーヌのブリタニスの選択
ブリタニクスの選択:愛か権力か?
ラシーヌの悲劇『ブリタニクス』において、タイトルロールを担うブリタニクスは、非常に重要な選択を迫られます。それは、愛と権力のどちらを選ぶかという、普遍的なジレンマです。
ブリタニクスは、皇帝ネロの異母兄弟であり、本来であればローマ帝国の皇位継承権を持つ立場にいました。しかし、ネロの母アグリッピナは、自らの実子であるネロを皇帝に即位させるために、ブリタニクスから継承権を奪います。
この状況下で、ブリタニクスは、ネロの婚約者であるジュニーに恋をしてしまいます。ジュニーもまた、ネロの冷酷さと権力欲に恐怖を抱き、ブリタニクスに惹かれていきます。二人の間には、純粋な愛が芽生えていくのです。
しかし、この愛は、同時に大きな危険を孕むものでした。ネロは、猜疑心が強く、自らの権力を脅かす存在に対しては容赦のない男でした。ブリタニクスとジュニーの愛は、ネロの怒りを買い、二人の命を危険にさらす可能性があったのです。
こうしてブリタニクスは、愛と権力の狭間で苦悩することになります。愛するジュニーとの関係を貫き、ネロに立ち向かう道を選ぶのか、それとも、自らの命と引き換えに、愛を諦め、権力闘争から身を引くのか。彼の選択は、自らの運命だけでなく、周囲の人々の運命をも左右する、重要なものでした。