ラシーヌのブリタニスの評価
登場人物の複雑な心理描写
「ブリタニクス」は、権力と愛憎に翻弄される登場人物たちの心理描写が優れた作品として評価されています。
特に、ネロンの狂気と孤独、ジュニ―の純粋さと苦悩、アグリッピーヌの野心と母性愛などが繊細かつリアルに描かれています。
ラシーヌは、古典主義の三単一律（時間・場所・筋の一体化）を守りながらも、登場人物たちの内面を深く掘り下げ、複雑な人間関係を描き出すことに成功しました。
韻文の美しさ
ラシーヌは、フランス古典主義演劇の巨匠として、その格調高い韻文表現が高く評価されています。
「ブリタニクス」でも、アレクサンドランと呼ばれる12音詩を用い、登場人物たちの感情の機微や緊張感を鮮やかに描き出しています。
悲劇的な運命へと向かう登場人物たちの運命を、美しくも哀切な韻文で表現することで、観客に深い感動を与えています。
史実を基にした物語
「ブリタニクス」は、ローマ帝国第5代皇帝ネロンの治世初期を舞台にした史実を基にした作品です。
ラシーヌは、歴史書「ローマ皇帝伝」を題材に、ネロン、ブリタニクス、ジュニー、アグリッピーヌといった実在の人物を登場させ、権力闘争や愛憎劇を描き出しています。
史実を題材にすることで、リアリティを持たせると共に、人間の普遍的な欲望や葛藤を浮かび上がらせています。